宗教法人は主だった書籍がほとんど絶版となっており(需要がない)、エンスーな領域に入り専門の代書人でもほとんど手がけてはいない。参考とするものが無い以上、役所への直接の問い合わせとなるが事が事だけに電話では意志が通じません。実体を知る者は宗教団体の上部組織の一部の事務家?さんであると推測されます。
まずは名義の問題
まず現在既に宗教法人であり、不動産名義が個人のままの場合を考えます。
元々宗教法人である場合は、不動産の名義は法人名義に変更していく事が想定されている宗教法人法(強制はない)でありますので、常に不動産が個人であるか法人であるかは考えていないといけない問題であるとは思います。
実際、新規宗教法人であれば、現在個人名義であっても将来的には法人名義にする計画、趣旨、意向を問われる様です。
何故、法人名義なのかと言うことは宗教法人に限らず、個人名義と言う事は権利関係が限定され永続性が問われます。一般の法人であっても事業の永続性の為の法人設立と言う趣旨もあるわけでありますので、宗教法人であればなおさらの課題です。
個人ですと相続が発生しますし、当然相続人と被相続人の関係、被相続人同士の関係と本来の法人活動に必要不可欠な不動産の問題を個人、それも多数の関係に巻き込むきっかとなり法人活動の妨げになる可能性は高いと言えます。
このあたりは宗教活動をどの程度のものであるかとの認識もあり、一概には言えませんが、法人名義の方が活動の永続性の外部からの確認は明確でしょう。
で、肝心の個人名義を法人名義に移管する場合の税務ですが、一般的には個人が法人へ譲渡したばあい、法人側では法人の所得となり決算書上価格が上乗せされますので、単に法人決算上の税務計算の問題となり、個人側では不動産譲渡所得の問題となります。
で、不動産譲渡所得とはなんぞや?と言う問題は、
売買の場合、取得価格−売価にたいして15%が国税、5%が住民税の合計20%の納税義務があります。つまり差額1000万の土地には200万の納税義務が発生します。
つまり値上がり益に対して課税されます。
しかし、取得が古すぎて金額が不明、尚かつ法人などに贈与したりするばあいは、
と言って、売ってはいませんが、売ったとみなしその代金を贈与したと言う形式をとります。ですが、売ったとみなすと言っても売ってないわけですから、みなす基準はなんでしょう。時価にと言うこととなります。
では取得金額はなんでしょう。時価の5%とみなされる事となります。
まとめますと、みなし課税では該当不動産の時価の95%が差額と解釈され時価1000万の土地は、みなし財産が950万円、不動産譲渡税関係は950万円の20%で190万円の納税と相成ります。
では、建物はどうかと言いますと、結果的に不動産譲渡税関係は発生いたしません。お気づきかと思いますが、譲渡税は値上がり益に対して課税されますので、不動産であっても土地とは別個の扱いであり性格上値上がりしません。償却されるだけで利益を生む性格にありませんので譲渡税関係は発生しないと考えて良いと思います。
つまり宗教法人への個人名義の不動産で税金関係が発生するのは、土地のみと言う解釈で良いと思います。
では、個人名義の土地を宗教法人に譲渡する場合、何が何でも譲渡課税関係が発生してしまうのかと言いますと宗教法人など公益法人に限っては、、そうでは無く
要するに宗教法人など公益法人に譲渡する場合の個人の税務は、法人側で法定の作業をすれば非課税となると言う事になります。
当然申告関係上、説明義務がある部分ではありますが、1000万時価の土地で約190万円の納税義務が無くなるわけですから、法人としては、何が何でも行う必要があるでしょう。
では結論のでたところ?で、
市役所によって扱いは違ってくるとは思いますが、ご当地では
なるものが、いまいち見慣れませんがあります。根拠条文は、地方税法第348条2項です。
宗教法人など公益法人名義の不動産であれば、なお分かりやすいとは思いますが、これは個人名義でも可能です。とくに税法は実体主義ですので、名義より実体です。
宗教法人など公益法人の業務を実際行っているのかが重要で調査も入ります。しかし、この場合は今まで宗教法人を続けていて新しく建物を建てた場合などを想定していますので、業務の証明は比較的安易であると考えます。
で、個人名義の場合は実体も伴っているとしまして、宗教法人に使用貸借(タダで貸している)の契約書などがあればなおよろしいかと思います。
これも申告ですから、やっておかないといらぬ税金の請求があるかもしれません。
建物新築時には、当然家屋を解体する場合があるとはおもいますが、これは宗教法人などに限らず一般家庭でも1月1日の所有者にかかる固定資産税ですので、12月近辺で家屋を解体する場合は、建物登記などを含めて12月一杯までに完了する事をお勧めします。
1月までに処理がかかると、元々課税されていた場合は1年分余分にかかる事があり得ます。元々非課税申請がされていれば問題は当然ありません。
建物を建て替えたからと言ってその時点では、報告義務はありません。そのままで結構です。しかし、宗教法人など公益法人の1年に1度の報告義務の中の財産目録が変更される事となりますので、適宜その時点での表現となります。
その場合、法人名義ならそのまま法人の財産、個人名義なら別途建物に関する書類を添付する事になると思います。
ここで、上記の作業と報告を繰り返せば、宗教法人及び個人とも国税、住民税、固定資産税共々無事非課税となることになります。
しかし、大きな問題は
銀行の融資条件が個人向けであり、債務者が個人、担保提供者も個人と親族の個人となり、法人の条件は何処にもでて来ません。
融資は当初の条件で継続されることを予定して行われていますので、途中から名義を担保付きで移す事はおそらく契約条件に違反すると思います。
このあたりは金融機関に説明しておかないと、こんなはずではなかったと言う状況がうん十年も続くと言う結果になりかねません。
上記の非課税作業の予定を含めて、相談しておくことは必要になるかもしれません。
記述してあります伝家の宝刀ですが、実際の運用としては申告でなく承認が必要です。それも各税務署の承認ではなくて国税長官の承認ですので、結構事は大事です。
宗教法人不動産税務も宗教法人設立と同程度の前倒し計画が必要となります。